年が明けたと思ったらあっという間に1月2月がすぎ、3月も半ばになってしまいました。
春から夏にかけては不動産市場もどんどん忙しくなってくる時期。私自身家を買いたい人、引越しを検討している人、家を売りたい人、デンバーメトロエリアで賃貸を探しているから手伝って欲しいという方々からの連絡がたくさん来て、忙しい時間を過ごしている間にあっという間に3月も半分以上すぎてしまいました。
少し遅くなってしまいましたが、2月のデンバーエリアの不動産マーケットトレンドをまとめていきます。
また、実はつい先週の3/15(金)、不動産業界への大きなインパクトを与えるニュースが飛び込んできたので、そちらについても解説していきます。
もしコロラドでの家探し、家を売る相談がありましたらどんなことでもこちらからお気軽にご連絡ください。
2024年2月のマーケットトレンド
1月から比べても、現在売りに出ている家の数、新しくマーケットに売りに出た家の数も増えてきていますね!
住宅ローンの金利動向
徐々に下がった金利が2月最後で一瞬上がりましたが、また6%台に戻ってきました。これから不動産市場が活発になる春夏どう動くのかに期待大です。
もし今、夏や秋に家をかうことを検討している方は必ずLenderからのPre-approvalをもらっておきましょう。こちらは「あなたはこれぐらいのローンに通りますよ」という仮の証明書の役割があり、買いたい家を見つけてオファーを出す時にはこのpre-approval letterも一緒に提出します。
「金利の様子を見てからにしたい…」と思う人もご安心ください。Pre-approvalで出されたローンの仮承認ではローンの金利は確定はされません。オファーが通り、appraisalやinspectionという手続きを経てローンの本審査となったタイミングでの利率が固定される流れになるので、今の段階の金利はあまり関係ないのです。
集団訴訟への判決がついに!
さて、それでは本題(?)の、先週あった特大ニュースについてまとめていきます。
そもそもこれまでの不動産のお話
そもそも前提として、これまでの不動産市場の家の売り買いに関するお話を少ししましょう。
家の売り買いをする時、seller agentとbuyer agentという二人の不動産エージェントが登場します。その名の通りseller agentは売り手のお手伝いをするエージェント、buyer agentは家を買う買い手のお手伝いをするエージェントです。
seller agentは家を売るために市場調査をしてどれぐらいの価格で売ったらいいかの提案をしたり、売るためにマーケティングをしたり、実際にOpen houseと言って家の公開内見日を設けたり…売るために必要なことを行います。
一方buyer agentは家を買いたい人のために、例えば市場に出てる家の情報を調べたり、買い手の家に求める条件をコンサルティングした上でいくつか家を提案したり、その家について詳しい情報を調べたり内見に一緒に同行したり、価格の交渉など、買うために必要なお手伝いをします。
一見するとなんの変哲もないこのビジネスモデルですが、なぜ集団訴訟が起きたのでしょうか?
なぜ集団訴訟が起こっていたのか
それは、「成功報酬」に鍵があります。
家の売買が成功した時にそれぞれのagentに発生する成功報酬、いわばお給料になる部分ですが、実はこれ、sellerがseller agentに、buyerがbuyer agentに出すのではなく、sellerがseller agentに支払い、その一部がbuyer agentに支払われるという仕組みが長く習慣的に続いてきました。
例えば家を売るためにsellerはseller agentに対して成功報酬6%を支払うとします。その金額は全てseller agentに行くわけではなく、そのうち3%はseller agent からbuyer agentに対して「compensation(補償金)」として支払われます。(数字はあくまで説明するための例で、全ての家の売買がこの%で行われているわけではありません)
そう、つまりこれまで長い間、buyerはbuyer agentの仕事に対しては支払わず、sellerがbuyer agentの仕事に対しての支払いも行なっていたことになります。
もちろん家を売ることで大きなお金が入ってくるのはsellerなので、「買い手を連れてきてくれたことへの報酬」「売買を成立させたことに対する紹介料」という形でこれまでこの形が取られてきたのですが、
「何でsellerがbuyer agentの仕事の分も支払わなきゃあかんねん!」
「buyer agentの分支払わなくてよかったら、家を売る価格だってもっと手頃にできたんちゃうん!?」
「むしろこの仕組みが不動産の価格下がりにくくしてるんちゃうん!?」
という訴えが上がり、集団訴訟になり、このシステム自体がおかしいのではないかとの訴訟に繋がったのです。
集団訴訟に対する1つのsettlement
この集団訴訟に対して国際リアルター協会であるNational Realtor Association(略してNAR)は戦ってきましたが、3月15日の判決で訴訟内容が認められたのです。
今回のsettlementは最終決定ではなく、今後裁判所にて最終承認がおりる必要があるので、最後の最後までどうなるかわかりません。ただ、今回のsettlementが今後不動産業界にどのような影響を及ぼす可能性があるかについてはいろんなネット記事で持ちきりになっています。
今回のsettlementによる不動産市場への影響
今回のsettlementが不動産市場にどう影響するか、そこがみなさんも気になっているところだと思います。これに関しては正直いまの段階で「こうなります!」と断言することはできず、あくまで私も予想をするしかないのですが、いろんな記事を読んでいていくつか紹介されていたものをまとめてみます。
これまでと正直あまり変わらない
1つは「判決が出たとしても、結局今までのビジネスモデルは変わらないんじゃないか」という意見。不動産業界がなくなることはまずないし、売るためのサポートも必要、買うためのサポートも必要、そしてそれを仕事にしてる人がいるからにはそこへの報酬も必要。
であれば、今までとは名前は変われど結局仕組みは同じままになるのではないか、という予想をしてる人もいました。
家を売るのは安く、家を買うのが高くなる
もう1つは、sellerがbuyer agentへの報酬を加味した金額ではなく、単純にseller agentの仕事に対してのみの支払いをすることになるから家を売るときにかかる諸経費は安くなる、その代わりbuyerはbuyer agentへの報酬の支払いが発生するので家を買う諸経費は上がるのではないかと予測してる記事もありました。
全ては交渉次第になる
あとは、全てがごちゃ混ぜで、引き続き紹介料としてsellerからまとめて支払われる成功報酬の中からbuyer agentに報酬が支払われることもあれば、buyer agentには支払いませんよ、と先に明記する物件も出てきて、全ては時と場合による、となる可能性もあります。
ただそうなると心配なのが、例えば初めて家を買う人で若い、まだ金銭的な余裕がない人は出来る限りbuyer agentに支払いをしなくていい物件を好むようになったり、buyer agent自身もsellerから報酬をもらえる物件を優先して売るなんてことが起こる可能性も考えられますよね。
Zillowなど個人が見れる物件検索サイトが低迷する
個人的にこれは高い確率でなるのではないかと思っています。
家探しをなんとなく始めた方で物件情報をZillowで見てるという人もいるのではないでしょうか?Zillowを実際に使ってみるとわかるのですが、これまでZillowを使って気になる物件について問い合わせをするとZillowと契約しているリアルターに繋がり、その人があなたのbuyer agentになってオファーや契約へ進みます。(もちろんそれを通さず、直接sellerとやりとりする可能性もありますが)
これができたのは、「buyerはbuyer agentにお金を支払わなくてもいい」という仕組みがあったからこそ、名前も相手の性格も知らない人とマッチングされて家の購入をサポートしてもらっても、その中間の人がお金がもらえるシステムになっていたからですよね。
ただ、もし全ての報酬が交渉次第、もしくはbuyerがbuyer agentに対して報酬を支払う可能性が高くなった場合、どうなるでしょう?そう言ったサイトは今よりも一層特定の選ばれた物件情報しか載せなくなり、buyerとしても同じ金額を払うなら自分が話して選んだ、信頼できるエージェントと家探しをしたいと思うことになると思います。
となると、Zillowはあくまで参考にはするけれど、家を探して購入するまでのプロセスを信頼して使えるプラットフォームとして機能するかと言われると疑問の方が大きいのが事実です。
リアルターの呟き
この2月から3月半ばまで、たくさんのリアルターにとって心も体も忙しいザワザワする期間だったと思います。
でも例えどんな判決が出たとしても、どう不動産業界が変わろうとも、不動産業界自体は無くならない、sellerは無くならない、buyerも無くならない。だったら私は、しっかりいまの現状への理解と知識はしっかり蓄えつつ、あとはデーンと構えて、自分のことを信頼してくれるお客様のために全力で働くのみです!
忙しいこれからの季節、頑張ります!
家探しはもちろん、例えば今の家の家賃でどれぐらいの家が買えるのか、月々どれぐらいの支払いをしたらどれぐらいの金額の家が買えるのかなどの相談にも無料で乗らせていただきます。何かあったらぜひ気軽にご連絡ください